2006年9月10日

ドイツには「天使が旅をすると天気が良くなる」という諺がありますが、今日は法王がミュンヘンに旅して天気が良くなったようです。気温26度の、暑くも寒くもない素晴らしい晴天。ミュンヘン東部のミサ会場には、25万人の信徒が集まりました。

昨夜から寝袋で会場が開くのを待った人もいると言いますから、その宗教的熱情には驚いてしまいます。神様を信じられる人は幸いです。私はアウシュビッツを訪れたり、ゲシュタポに拷問を受けた末アウシュビッツに送られた被害者をインタビューしたりしてから、神というものの存在を信じられなくなってしまいました。多くのユダヤ人被害者は似たような意見を持っているようです。逆に、今朝ドイツの新聞で読んだのですが、世界貿易センターで旅客機が突っ込んだ階よりも上の階にいたのに、脱出することができた2人のアメリカ人は、「神の導きがなかったら絶対に助からなかった」と考え、以前よりも信仰心が深まったと言います。信仰心が深い大統領に率いられたアメリカが、今度はイラクやアフガニスタンで、市民たちの間に多くの犠牲者を出しています。そう考えると、リームのミサ会場に集まった25万人の信徒は、こうした矛盾をも超克して、ベネディクト16世の声を聞くことを功徳と考えているのでしょうか。それとも、別になにも考えてはいないのでしょうか。